高度不妊治療
Assisted Reproductive Technology
高度不妊治療(Assisted Reproductive Technology)とは、体外受精、顕微授精、胚凍結、融解胚移植を行い、妊娠を目指す治療です。 患者さま一人ひとりに最適な治療法を提案できるよう、当院では様々な治療薬、医療技術を準備しております。
初めて高度不妊治療を受けられる方には、ARTセミナーへの参加と自己注射指導への参加をお願いしております。ARTセミナーでは、「高度不妊治療へのstep upを考慮すべきタイミング」、「体外受精・顕微授精・胚移植の治療内容」、「実際にどれくらいの来院日数が必要か」などを丁寧に説明します。また、説明会終了後、個別の質問にも対応致します。
体外受精/顕微授精を推奨するケース
体外受精/顕微授精の適応者 |
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絶対的な適応として、卵管性不妊(両側の卵管閉塞・卵管水腫)、免疫性不妊(抗精子抗体陽性)、男性不妊(精液所見不良・無精子症)などがあげられます。しかし、現実的にはこれらの原因はそう多くありません。むしろ、原因不明であっても、年齢・不妊期間・これまでの治療期間(一般不妊治療の限界)・ご夫婦の希望などから複合的に推奨されることがほとんどです。
体外受精/顕微授精の流れ
8つのstepからなります。(各stepの詳細はARTセミナーにて説明させていただきます。)
よりよい受精卵を多く得るために
当院では、一定以上の確証がある卵子の数や質を向上させる検査を行い、サプリを必要に応じて処方します。
ビタミンD・DHEA
採血を行い、不足している場合は適正値まで改善させることで、卵の数や質を向上させる効果があります。
メラトニン・レスベラトロール
抗酸化作用のあるサプリで、良質な受精卵獲得率が上がるという報告があります。
通常の体外受精や顕微授精では思うような結果が得られない時に下記の医療技術を提案することがあります。
卵子活性化療法
顕微授精の受精率が低い場合に用いる技術の1つです。Caイオンを多く含む培養液を用いることで受精の際におこる卵子活性化を補助します。
polscope法
顕微授精において、低受精率、胚発生不良の場合に用いる技術の1つです。卵子の成熟度を的確に判断し、適切な時期に顕微授精を行う方法です。また、紡錘体の位置を確認出来ることで、ICSIの際に針で紡錘体を傷つけるリスクが低下します。
PICSI
顕微授精の精密な精子選別方法の1つです。PICSIによって成熟した精子を選別することにより、胚盤胞到達率の改善、流産率の改善が期待されます。
よりよい着床率のために
SEET法
SEET法(子宮内膜刺激胚移植法)は、胚盤胞移植において着床率の上げるための方法です。採卵から5-6日目に受精卵が浸っていた培養液(SEET液)を凍結保存します。凍結融解移植を行う周期に、胚盤胞を移植する2〜3日前に凍結していたSEET液を先に子宮に注入し、その数日後、凍結融解胚移植を行います。胚盤胞のみを移植するよりも大幅に妊娠率が向上します。
G-CSF法
着床現象は炎症反応を伴うため、子宮内は軽い炎症状態の方が好ましいといわれています。炎症性サイトカインであるG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を子宮内に注入することで、軽い炎症を惹起させ、子宮内膜を厚くしたり、着床環境の改善効果、着床率の上昇が報告されています。
受精卵生着促進剤(高濃度ヒアルロン酸含有培養液・GM-CSF添加培養液)
胚融解~胚移植操作で、特殊な培養液を用いることで着床率の上昇が期待されます。
アシステッド・ハッチング(AHA)
胚(受精卵)は透明帯の殻を破って出てきた(ハッチング= 孵化)もののみが着床できます。AHAとは、移植前の胚の透明帯を薄くして一部に切れ込みをいれることでハッチングを助ける操作で、着床率の上昇が期待できます。
着床不全検査/不育症検査
慢性子宮内膜炎
子宮内細菌感染による慢性子宮内膜炎の状態だと、着床率が大きく低下します。反復着床障害の方の1/3に見つかるといわれており、内膜生検+特殊免疫染色で診断し、抗生剤で治療します。しっかりと治癒できたことを再検査で確認できれば着床率は改善します。当院では良好胚を2-3回移植しても妊娠しない時に提案することがあります。
PRP療法(PFC-FD療法)
子宮内膜が十分な厚さにならない、反復着床不全などの難治性不妊に対する治療法です。自身の血液から抽出した高濃度の血小板に含まれる成長因子を子宮内に注入する方法で着床不全が改善する可能性があります。血小板由来の成長因子は、細胞の成長を促す物質や免疫にかかわる物質を含みます。これらにより期待される効果で、子宮内膜が十分に厚くなる、受精卵が着床しやすくなると報告されています。
不育症
基礎検査(抗核抗体・LA・PT・APTT)、抗リン脂質抗体症候群(抗PE抗体IgG/IgM・抗CL-β2GPIIgG/IgM・抗CL抗体IgG/IgM)、夫婦の染色体検査、その他(第Ⅻ因子・プロテインC活性・プロテインS活性・抗TPO抗体・NK活性、Th1 / Th2)など。ご希望に合わせて検査できます。
ERA / ERPeak(着床の窓)
子宮内膜が受精卵を受け入れられる期間はある程度短いと言われており、それを「着床の窓」と呼びます。子宮内膜胚受容能の遺伝子発現パターンを解析することで、着床の窓にズレがないか、より良い移植タイミングはいつ頃なのかを調べます。また当院では検査結果とその他の因子を勘案することで最適な胚移植時期を提案することもあります。
治療実績
2021年1月以降の治療成績です。
2020年以前の治療成績は院内の掲示をご覧ください。
妊娠率
日本産科婦人科学会によるARTデータブック2017との比較。いずれの年代でも全国平均を上回る妊娠率となっています。
採卵1回あたりの成績
当院では、原則として受精卵を3日間培養した分割胚を1個凍結し、残りを5-6日間培養する胚盤胞を目指す方針としています。
受精率
ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)は培養成績の評価項目としてKPIs(Key Performance indicators)を提唱しており、そのKPIsの基準値との比較です。 全ての方に顕微授精が必要なわけではありませんが、当院の顕微授精は高い受精率ですので、採卵個数が多い方には初回から体外受精と顕微授精を半々にすることをお勧めしています。
胚盤胞到達率
受精卵を5-6日目培養したものを胚盤胞と呼びます。胚盤胞は分割胚よりも妊娠率が高く、当院では5.6日目に胚盤胞となったものを凍結保存しています。ESHRE KPIsと比較してますが、ESHREは5日目に到達したもののみで胚盤胞到達率を算出しているので、単純比較はできませんが、十分に高い数値といえます。
ご予約のご案内Reserve
当院は完全予約制をとっております。
初めて来院される方、再診の方ともに、予約の上、ご来院をお願いします。
web予約システムを導入しておりますので、24時間いつでも下記より診療予約が可能です。
当日予約、予約困難な場合は、079-421-8811(予約専用・お電話受付時間:9:30~12:30/16:00~19:00)でも予約を承ります。
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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9:30~13:00 (最終受付12:30) |
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16:00~19:00 (最終受付18:30) |
お車でお越しの方
加古川バイパス・加古川ランプを降りて南に500m。
クリニック横に契約駐車場(タイムズ)がございます。
無料でご利用いただけます。
電車でお越しの方
JR神戸線加古川駅 ビエラ加古川内
加古川駅南出口を出て、西側へ徒歩1分。