子宮腺筋症の不妊リスク
子宮腺筋症とは?:
子宮内膜に類似した物質が、子宮筋層内に異所性に増殖する疾患
過多月経、月経困難症、不妊症の原因となる。
不妊症につながる原因は?
確固たる原因は分かっていないのが現状です。
「内膜の菲薄化」「子宮内膜の受容能異常」「子宮内膜の脱落化異常」「舞異性子宮内膜炎の併発」「炎症性サイトカインの異常」「子宮の収縮・蠕動異常」など、諸説ありますが、全てが関与しているだろうし、逆に未だ全て仮説を抜け出しているくらいです。
治療法は?
妊娠を望まないならばホルモン療法となりますが、妊娠を望んでいる場合は経過観察or手術となります。しかし、手術はメリットをデメリットが上回る可能性もあるので、積極的には推奨されていないのが現状です。
妊娠率は?:
有意差を認める大きな論文が2つあります。
①妊娠率(オッズ比:0.57) 流産率(オッズ比:3.49)
②妊娠率(オッズ比:0.69) 流産率(オッズ比:2.17)
出典① Hortton J, et al : Reproductive, obstetric, and neonatal outcomes of women with adenomyosis and endometriosis : a systematic review and meta-analysis. Hum Repord Update 2019; 25: 592-632
出典② Nirgianakis K, et al : Fertility, pregnancy and neonatal outcomes of patients with adenomyosis : a systematic review and meta-analysis. Reprod Biomed Online 2021; 42: 185-206
私見:
子宮腺筋症はエコー画像診断になるので、画像だけでどこまでのリスクととらえるのか難しい疾患です。患者さんにとっては、内膜症と違って、少し子宮が腫れぼったい程度の認識になってしまうのは仕方ない話です。
ただ、既述の通り、腺筋症があると、「妊娠率は0.6-0.7倍」・「流産率は2-3.5倍」という数字を見ると、かなりのリスクと認識できます。